低用量経口避妊薬の承認までの長い道のり

経口避妊薬は女性ホルモンを一定成分配合した飲むタイプの医薬品で、ホルモン量に応じて高用量、中用量、低用量に分かれています。
高容量の経口避妊薬は、主に月経困難症などを緩和するホルモン療法のための医薬品として、かなり以前から存在していましたが、重大な副作用をもたらすおそれもあったことなどから、よりホルモン量を減量したタイプの製品の開発が急がれていました。
そこで登場したのが低用量の経口避妊薬であり、こちらは副作用の懸念も高用量のものに比べて少ないことから、月経困難症の治療目的で使用されることもあるものの、主には確実性の高い避妊目的で使用されるようになり、女性の自己決定の象徴ともなっています。
低用量経口避妊薬は、アメリカではすでに1973年に医薬品としての認可を受けており、それ以来、世界中の多くの女性により利用されてきましたが、日本では医薬品として厚生労働省からの承認を受けるまでに長い道のりを必要としました。
日本では1987年に5,000人規模の女性たちを対象とした大々的な臨床試験が行われ、続いて1990年から複数の製薬会社が医薬品としての承認申請を行っています。
しかしながら、このころ性感染症としてのエイズ(HIV感染症)が流行するきざしを見せはじめ、厚生労働大臣の諮問機関である中央薬事審議会での医薬品承認に向けた審査が中断するなどのトラブルがありました。
また、この低用量経口避妊薬の承認によって、性的なモラルが低下し、エイズの蔓延を助長するのではないかという懸念も根強く、別の公衆衛生審議会にも意見具申が求められています。
現在これらの審議会は改編されていますが、かくして医薬品としての承認が決まったのは1999年のことであり、申請から実に9年の歳月を要したことになります。