高用量経口避妊薬によるがんリスク

経口避妊薬は、ステロイド系女性ホルモンを含む医薬品で、一般的なものでは卵胞ホルモンと黄体ホルモンという2つの女性ホルモンの成分が配合されています。生理周期にあわせて毎日1錠ずつ服用するようにすれば、女性ホルモンの作用によって排卵が抑制されるため、すぐれた避妊効果を発揮する反面、特定の疾患にかかりやすいリスクもあるとされています。
そのようなリスクのひとつとして、乳がんや子宮頸がんなど、がんにかかりやすくなるというリスクが挙げられます。経口避妊薬は、1日あたりの用量でみたときに、錠剤中の卵胞ホルモンの量が50マイクログラム以上のものを高用量または中用量、それ未満のものを低用量として区別しており、特に含有量が多い高容量の経口避妊薬で副作用の懸念があります。
日本で最初に低用量の経口避妊薬が解禁されたのは1999年のことになりますが、その前段として、医薬品の審査などを取り仕切る厚生労働省の中央薬事審議会で、経口避妊薬の安全性についてのとりまとめが行われています。
その際の資料は一般にも公開されていますが、乳がんについては、過去の疫学調査の結果から、現在経口避妊薬を服用している女性は、服用したことがない女性と比較すると、リスクが1.24倍ほどあるものと推定されています。ただし、経口避妊薬の服用をやめた場合には、そのリスクは年々低下し、中止後10年以降になると、1.01倍まで減少するとされています。
また、子宮頸がんについても、同様の方法でリスクは1.3倍から2.1倍と推定されていますが、いっぽうにおいて子宮頸がんはある種のウイルスによる感染が最も強い因子となっているということも指摘されています。
もっとも、以前は経口避妊薬といえば高・中容量のものだけでしたが、現在出回っているものはほぼ低用量のタイプだけですので、副作用のおそれもかなり少なくなっています。